次の日は6時30分くらいに起きました。
病院で初めて朝を迎えるので起床の時間を知らなかったのですが、結構適当というか、目が覚めた人から起きていくという感じでした。
7時15分くらいに朝ご飯が来ました。
今日が手術の日なので、ご飯は五分かゆでした。
五分がゆというものの存在を初めて知りましたが、ご飯とお湯が5対5で入っているおかゆでした。
味がほぼ全くなく、クッソまずかったです。
味付け用についていたであろう、味噌を付けてみましたが全然美味しくなりませんでした。
他のご飯も、消化の良さそうなものばかりで、良く噛んで食べました。
ご飯の後は看護師さんが来て、ご飯をどれだけ食べたかと体温と血圧を測ってもらいます。
今回は担当のおばさん看護師でした。
9時から歯科衛生士さんに歯の掃除をしてもらうから、歯磨きをしっかりしておくように言われました。
あと、歯の掃除が終わったら、飲み食べ禁止だということも言われました
8時くらいになって片岡先生が来て、腕に点滴用の針を刺してもらいました。
針を刺してもらっている間、僕は目線に困ったので、針を刺してもらっているところと何もない机の上を交互に見ていました。
今時の針は凄くて、柔らかいのです。
ゴム製の細いパイプみたいなイメージです。
点滴はまだ付けず、針だけが腕に付いた状態です。
そうして、9時になって看護師さんに呼ばれたので、2階の外来の口腔外科診察室まで行き、名前を言ったら、すぐに通してくれました。
前回の手術前検診の時に歯磨き指導をしてもらった歯科衛生士さんでした。
いつも通り、歯の歯石を掃除してもらったのですが、僕は歯をしっかり磨いている自負があり、歯石はほとんどなかったようで3分も経たずに終わりました。
歯科衛生士さんにありがとうと言って、次に片岡先生の診察を受けました。
片岡先生は今日やる手術の確認をして終わりました。
大体30分くらいですべて終わってしまって、病室へ戻りました。病室に戻ってしばらくすると、担当の看護師さんが、脱水を予防するための点滴を持って来て点滴を始めました。
それから、しばらくの間、特に何もなく暇だったので本を読んでいました。
本を読んでいると、同じ部屋の人たちが看護師さんや面会に来た人と話しているのが聞こえていたのでそれを聞いていてその人たちがどんな病気で入院しているのかがわかりました。
まず部屋に入って右の手前が僕のベッドで、右の奥が72歳のおじいさんで、膵臓の病気から糖尿病を引き起こしてしまったらしく入院しているとのこと。
奥さんと、娘と孫が面会に来ていて、かなり良くしゃべる。
次に入って左側の手前で僕の向かいのベッドの人は、30歳くらいのサラリーマンで、奥さんと小さい娘さんが面会に来ていて、多分親知らずを抜いたと思われる。
僕が入院した日の前の日に手術をして、僕が退院する前の日に退院していた。
そして、入って左奥は50後半から60前半くらいのおじさんで奥さんと娘さんが面会に来ていて、名古屋のマラソンについて話していた。
奥さんは毎日お見舞いに通っているようで、夜ご飯の時お話ししながら食べているのがよく聞こえた。
結構重度の糖尿病のような感じで、よく唸っているのが聞こえる。
杖を使わないと歩けないようで、看護師さんに車いすをお願いしていることもあった。
右奥の軽度の糖尿のおじいさんが自分の血糖値を大声で話すため、左奥の重度のおじさんはあまりいい気はしないだろうなと思っていました。
そんなことを考えてたらお昼ご飯の時間になりました。
しかし、僕は午後から手術のため、昼ご飯は配られませんでした。
同じ部屋の人がご飯を食べる音を、お腹を鳴らせながら、聞いていました。
1食抜くのがこんなにも苦痛だと思いませんでした。
ぐだぐだ言っても仕方ないので、ひたすら本を読んでいました。
少しして、14時45分くらいに母が来ました。
手術中は万が一のために家族が病院にいないといけなかったからです。
母と話していたら15時くらいに担当の看護師さんが、前の人の手術が終わったので、すぐ行けるように準備していてくださいと言われました。
僕は特に準備することはありませんでしたが、念のためにトイレに行きました。
そして、いよいよ、15時15分くらいに担当の看護師さんが来て、手術室へ移動しますと言いました。
手術室は金属類の持ち込みが禁止のようで、眼鏡を置いていくように言われました。
僕が立ち上がり、行こうとしたら母親が、頑張れと言っておしりを叩いてきました。
僕はなんか違うんじゃないかと思いながら、行ってきますと言いながら病室を出ました。
看護師さんがつかつかと歩くので、目があまり見えない上に、点滴のガラガラが邪魔でしたが、何とかついていきました。
エレベーターで7階から手術室のある3階に移動します。
エレベーターが来るのを待っている間、凄く気まずい沈黙が流れました。
看護師さんが気を遣って話しかけてくれるのを待っていましたが、何もしゃべりませんでした。
無言のまま、来たエレベーターに乗って、3階につきました。
エレベーターのドアが開いて、周りを見渡しましたが、他の階と全然様子が違っていて、静かで人の気配があまり感じられなかったので、少し驚きました。
30メートルくらい曲がったりしながら歩いたら、中央手術室と言う文字が書かれた大きな扉の前に来ました。
そのとなりに付いていたインターホンに向かって看護師さんが小杉君よろしくお願いしますと言ったら向こう側の人が返事をして扉が開きました。
扉の向こう側は手術室の手前のまあまあ広いスペースみたいな感じでした。
目があまり見えなかったので、その場所の風景が曖昧ですが、看護師さんに誘導されて、とりあえず椅子に座りました。
座って10秒後くらいに手術室ではない、控え室みたいな場所から2人女性が出てきて、本人確認のために名前を言ったり、その人たちが名前を名乗ったりしました。
2人とも違う服を着ていたので看護師と医師だったと思います。
眼鏡がなかったのであまり見えませんでしたが2人とも若くて、医師の方は目がまん丸でかわいい系の人でした。
そして立ち上がって、手術室に行きました。
その人たちは、僕に背が高いねとか緊張してる?とか話しかけてくれました。
全然緊張している自覚はありませんでしたが、緊張しているように見えたのか、笑っていました。
手術室の中には、片岡先生と麻酔医だと思われる男の医師がしゃべっていました。
片岡先生によろしくお願いしますと言って、言われるまま手術台に腰掛けました。
そこで少し簡単な質問をされました。
名前と、最後にご飯を食べた時間と、今からどんな手術をするのかという質問でした。
それが終わったらついにベ手術台に横になってくれと言われました。
手術台の上でも緊張しているかと麻酔医に聞かれて、してないと言ったら、確かにけろっとした表情してるといわれました。
僕が手術台に寝てからも、医師や看護師の人たちは緊張感がないというか賑やかに話したりしていました。
今まで手術現場はドラマでしか見たことなかったので、現実の手術はこんな風に行われるのかと少しびっくりしました。
がやがやした中、麻酔医の人がじゃあ麻酔入れるよと言いました。
今回の手術では、歯医者でもよく使われる局所麻酔に加えて、眠たくなる効果のある、静脈麻酔を使うということは聞いていました。
麻酔を入れてもらった瞬間から、目の前がぼーっとしてきました。
麻酔ってこんなに瞬間的に効いてくるのかと、またもや驚きました。
ぼーっとしながらも、歯茎の辺りにちくりとする痛みを何回か感じました。
多分、局所麻酔をしていたのだと思います。
それ以降は残念ながら、記憶がありません。
次に目が覚めたのは、体を揺すられて、手術が終わったよという知らせを受けた時でした。
約2時間の手術中、麻酔のせいもあって爆睡をキメていました。
目を覚ますと、またもやざわざわした手術室でした。
寝ぼけながら覚えていることは、痛かった?と聞かれて、ずっと寝てたんでわからなかったですと答えたことと、歯、見たい?と聞かれて、見たいと言ったら、ケースに入った歯を見せてくれたことです。
その辺の会話は女性の医師の人としていたのですが、実はその時は僕の手術をしてくれていた人がどの人かわからなかったのですが、思い返してみると、その若い女性の先生がやってくれたのだと思います。
歯を見せてもらっている間に担当の看護師さんが、僕のベッドを持って迎えに来てくれたので、そのベッドに移ってそのままベッドのまま病室に運んでもらいました。
ベットで寝たままエレベーターに乗って移動するのは楽しかったです。
病室に戻ってきたら母がいて、僕がおおといったら、お疲れといっていたような気がします。
そしてここからは、2時間絶対安静の時間でした。
枕も使えず、真っ平らのベッドの上で2時間くらいぼーっと寝転んでいました。
15分くらいしたところで父が仕事帰りにお見舞いに来てくれました。
少し話した後、父と母が帰っていきました。
係の人が夜ご飯を持ってきてくれました。
五分がゆと鮭にクリームソースが乗ったおかずでした。
しかし絶対安静なので起き上がることもできず、ましてや食べることもできないのでただずっと眺めていました。
手術が終わってから40分くらい経ったところで、切り口のところに当てていた綿を取りに看護師さんが来ました。
その看護師さんのかわいいことと言ったら、痛さがすっ飛んでしまうほどでした。
目が大きくて、少しつり目でマスクをしていたので顔全体はわからなかったですが、優しい雰囲気がにじみ出ていました。
その看護師さんに綿を取って貰ったら血が一気に流れてきました。
歯牙腫を切除したところに大きな穴が開くので、そこから管を通して溜まってくる血を抜くからしばらくは口の中に血が溜まるということを片岡先生に言われていましたが、本当に血がドバドバ出てきました。
それをある程度溜まったら、ティッシュにはき出していました。
かわいい看護師さんは綿を取った後、点滴に抗生剤の点滴を追加してくれました。
そして、夕食をナースステーションで預かってくれるといって、持って行ってしまいました。
若くてかわいい看護師さんが担当になってくれて、夢が叶った気分でした。
そしてニヤニヤしながら残り1時間ぐらいをただ寝転んで過ごしました。
そして、手術が終わってから、2時間が経過した頃に、そのかわいい看護師さんが来てくれました。
看護師さんに言われたとおり、僕は起き上がって、体温を測りました。
同時にもう片方の腕で、血圧を測って貰いましたが、なんか幸せでした。
体温と血圧を測り終わって看護師さんが記録し終わったら、点滴が終わっていたので、点滴を外して貰いました。
その時、看護師さんがティッシュ1枚貰っても良いですかといったので、何も考えずに渡しました。
後から分かったことですが、この看護師さんは点滴の管がゴムの網で腕に押しつけられることを気にかけて、ティッシュを挟んでくれていたのでした。(他の看護師さんでやってくれた人はいない)
看護師さん、マジ天使!
それが終わって、看護師さんがカーテンの向こうに出て行ったと思ったら、僕の夕食を持ってきてくれていました。
そして、少し温め過ぎちゃったかもしれないから、気をつけて食べてくださいと言いました。
看護師さん、マジ天使!
手術着は着替えて、置いといてくださいと言われたので、わかりましたと返事をした後、お礼を言って、看護師さんも出て行きました。
ご飯はいろいろやっている間にちょうど良い温かさになっていました。
看護師さん、マジ天使!
僕は、夜勤で大変だろうなぁと看護師さんのことを考えながらご飯を食べました。
できるだけ、手術で切ったところを使わないように苦労しながらも、完食しました。
そして、手術着からパジャマに着替えて置いておきました。
食べ終わって、起き上がった状態で本を読んでいたら、いつの間にか9時くらいになっていました。
9時頃に看護師さんが来て、夕食をどのくらい食べたか確認しに来ました。
完食ですね、と言っていました。
痛みはありますかとか、血は止まりましたかと聞かれたので、血が止まらないと言ったら、今晩中は血が出続けるだろうから、もし気になるならベッドを少し起こして寝ると良いかもしれないと言われたので、言われたとおりそうしました。
そして、ちょっと口の中を見せてくださいと言って、素手で僕の唇を触って、手術で切ったところを見ていました。
僕は必死に動揺を隠しながら、平然としていました。
そして看護師さんは、9時30分には消灯なので電気消してくださいねと言ったので、僕はダメだとは分かっていましたが、読書灯も消さないといけないですかと聞いたら、案の定ダメだと言われました。
看護師さんは病室から出て行ってしまいましたが、去り際に、おやみなさいと言われて、僕もお休みなさいと返しました。
看護師さんは寝られないであろうに、大変だと思いました。
その日も向かいの親知らずのおにいさんは、消灯時間も守らずに電気を付けていましたが、僕は看護師さんに質問してしまったので、電気を付けずに常夜灯のみを付けて本を読んでいました。
今日は昼間にも昼寝をした上に、麻酔でかなりの時間寝ていたので、眠たくならないだろうと思っていましたが、少し本を読んだところで眠たくなってきてしまったので、電気を消して寝ようとしたときに、見回りの看護師さんが来ました。
そして、向かいの親知らずのにいさんが消灯時間だと言われて注意を受けていました。
あのかわいい看護師さんの声でした。
昨日の看護師さんは何も注意をしなかったのに、その看護師さんは患者の健康を思って注意してくれているんだと感動しました。
その日は糖尿のおじさんたちも、気持ちよさそうにいびきを上げながら寝ていました。
そして僕も寝ました。
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