砂漠/伊坂幸太郎 を読んで

まずこの本を読もうと思ったきっかけは、youtuberのないとーが、この小説をおすすめしていたからだ。ないとーはこの本を、大学生であるうちに是非読んでもらいたいといっていたので、大学2年生である、いま、すぐに読んでみようと思った。

この本は、大学生の男女5人が麻雀を通じて仲良くなり、色々な出来事に遭遇しながら、日々を過ごすという青春の1ページのような小説である。この小説は大きく春夏秋冬の4つに分れており、それぞれ読み終わった段階で、感想を記録していこうと思う。


新学期が始まってすぐに、学部の飲み会で西嶋が全員の前で演説をする場面があるのだが、こういう人前で自分の意見や考えを発表できるというメンタルの強さがすごいと思った。今の自分だったら、新生活が始まって、馴染めるか不安でいっぱいの状況で、自分のことをどう思うか考えてしまって、このような大きな行動に出たいと思っても、絶対に怖じ気づいてしまうだろう。

西嶋の言葉で「音楽性が変化していく人なんて、迷いがある証拠ですよ」という言葉があるが、はじめこれを読んだときは、なるほど、何においても考えは一貫していないといけないんだなと思ったけれど、考え直してみると、最初から完成した物なんてないし、変化すると言うことは成長しているということなので、それが、劣化ならともかく、進化であるなら、変化していくことは、悪いことではないと思った。

西嶋が必死にひとりでボーリングの練習をしているのを見た時、東堂が西嶋に好意を持ったという場面で、東堂が言った「結局、いざというときにやるなんて豪語している人は、いざというときにもやらない」という言葉にハッとさせられた。いつも全力投球でやっている人は、いざというときにも高いクオリティーを保てるし、そう言う人は誰から見ても、魅力的に見えるのだと気付かされた。

合コンからボーリングの流れの中で感じたのは主人公の北村が冷静に状況を分析しているということである。長谷川という女の子の表情や、自分たちへの目線を感じ取って、冷静に分析している。合コンとかでは油断しがちで、実際に油断している場面もあったが、目先の利益だけにとらわれず、自分の置かれている状況から、判断して、最も賢明な判断が必要なのだということを学んだ。自分が信用していると思い込んでいる人が、その信用を逆手にとって、利用しようとしていることも考えられるくらいに、冷静でないといけない。

春を読んで、最初の方に出てきた描写や場面が、伏線であったのにそれにあまり気づけていなかったので、夏からは最初の方の重要でなさそうな描写もできる限り、覚えつつ読むように心掛けた。

鳩麦さんと北村との描写を見て、恋人関係でどういう風に接したら良いのかを学べた気がする。自分の感性から見て、相手に対しておかしいと思ったところがあれば、遠慮なく言うべきだと思った。それで言い争いになったとしても、それはマイナスではなく、今後に繋がる必要なやりとりになるはずである。関係がこじれることを恐れて言いたことを言えないような関係ではいけないと言うことを学んだ。

腕をなくした鳥井にどう接するべきかというのは、本当にその場に自分がいたら、かなり戸惑うだろう。この話では、いつも通り接していて、くだらないことを西嶋が話すのを見て、何とか吹っ切ることが出来ていたが、自分の経験上しばらく笑えない日々が続くし、鬱陶しいと思うかもしれない。自分だったら、極力放置して、3週間くらいしたころからまた様子を見て、接していくだろうと思った。

モテる人の特徴「ユーモアがあり、軽やかで、知的そうな人。洒落ているだけで中身がない。」と書いてあった。自分は今はまだ、前者でも、中身のある人間にもなれてないけれど、何となくわかる気がする。中身のある人の言葉は重みがあって、一言一言の存在感が大きいけれど、中身があまりない人の言葉はは何か軽くて、一瞬光った後、すぐ消えてしまう感じ。軽い印象はあるけれど中身のある人もいるから、それが理想。人に中身が詰まっている人は、思慮深い人で、常に色々と考えをめぐらしている。習慣的に考えている人は、人としての中身が詰まっていると思う。

賢くて偉そうな人は要約して本質を見抜いて分類してしようとする。実際は本質なんて、バラバラでケースバイケースなのに。そうすることで自分が賢いところをアピールすることができるから。確かに、本質を見抜くことが出来る能力は賢いことの要素であると思った。賢い人は、そうやって容量を小さくして、覚えておくのだと思った。賢い人は本質を見抜く力が強いので、それまでのプロセスなど、非合理的な物に興味を示さないから、情が薄いと思われるのかもしれない。そう言う人たちは合理主義者なので仕方がない。

自分が好きなことをしていて痛い目に遭ったんだから、自業自得。もっとひどい事故で痛い目に遭う人もいるんだから、そう言う人に比べたら自業自得でいい。自分は悲しいことがあったときに、~よりはましだと思って自己解決するようにしていたが、もしその~になった場合、偶然の事故なら使えないが、今回のような、自分の好きなことをしていて起きた事故では、自業自得でよかったと言えると思った。辛いことが起きたときは、いかに自分を納得させるかが大切であると思うので、そういうときのための備えになった。

社会とは砂漠のようなモノで、学生は社会に出ていないためわからないが、出たらわかる息苦しさがある。自分も学生だからまだ完全には社会に出ていないが、バイト先とかで売り上げや、人間関係のつきあいの大変そうなところを目撃すると、毎日こういうモノと戦っているんだなと思うところがあり、大変そうだなと思う。ここでも感じるのが、何事も距離感が大事だなと思う。仕事のことを休みの日や、家とかでも考え始めたら、憂鬱になってしまって、自己の成長は見込めない。そんな姿は誰が見ても魅力的には見えないのだと思う。これは自分が失恋を通じて気付いた最も大きな収穫だと思っている。

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